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独立創業日記

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独立創業日記7

1.部長も来た、社長も来た!
事務所を構えて数ヶ月も経ったころから、ぼちぼちと人の出入りが始まった。若林6畳オフィス(自宅書斎)時代の来客といえば、税理士さんとH信用金庫S氏ぐらいであったのだが、ここにきていろいろな人が訪ねて来るようになった。

 

まずは、保険屋のおばちゃん。目的は当然保険の勧誘である。会話の中で「社長さん、社長さん」と何度も呼ばれるのが面映かった。そう、社長であることは間違 いない。しかし(事務所を)見てのとおり社員は一人もいないのだ。退職金の準備を兼ねてこんな保険商品はいかがでしょうかと奨めてくれる。退職金なんて いったいどれくらい後のことなのだろう。来年1年会社が存続できるかさへ疑わしいのに退職時期のことなんて想像もつかない。来月の自分の給料をどうしたも のか思案している社長に退職金の準備とは...これは参った。

 

取引先の方も訪ねて来てくれた。きちんと事務所を構えましたと伝え ると、では次回打合せは浜松で行いましょうということになった。知人は別として、上場企業の部長級以上の役職者、あるいは地方中堅企業の社長がみえられ た。自社に戻れば直属の部下だけでも何十人といったお偉方である。(ちなみに肩書きだけなら私は社長、でも部下どころか社員もいない...)
迎える方としては結構緊張した。応接セットは、通販で買った折り畳み会議テーブル2脚(1脚1万円)、パイプ椅子6脚(1脚2千円)。他に、慌ててコーヒーメーカと紙コップ、お盆にスリッパなどを用意した。そういえば、トイレにマットを敷いたのもこの時だったかな。

 

 

 

2.法人成りすること、事務所を持つこと
独立して商売を始めるのに、わざわざ会社を作る必要はない。個人事業としてスタートしてよいのである。でも私は、最初から法人化(つまり会社を作ること)を目指した。

 

ソフトウェア開発を請け負うには、個人では相手にされない事例を知っていたからだ。個人相手に出すプログラム開発など、レベルでいえばアルバイトであって当 然その内容も費用(単価)も相応のものになる。ソフトウェア開発が商売として成り立つには、1日の仕事が5万円10万円といった売上にならなければならない。しかもそれが継続しなければならない。アルバイトにそんなに出す顧客はまずいない。
ビジネスとして見れば、ソフトウェア開発の費用は決して小 さくない。製造機械や店舗の設備費用ほどではないのだが、アルバイト+アルファ程度の人件費では話にならない。相応の費用が負担できる顧客というと、そこ そこの規模をもつ企業ということになる。このクラスの企業では、法人しか相手にしない。実体は社長一人の会社であっても、対外的な信用は、社長個人でな く、社長を擁する法人に向けられている。

 

事務所を持つことについても同様の信用効果があるようだ。個人が前面に出てこない方がよい。
個人住宅の1室を事務所にしているケースでは、多分アルバイト以上の信用は得られないと思う。打合せをしていてもそこに、子供が入ってくる、私的な連絡の電 話が入る、夕食の匂いが漂ってくるとなると、1ヶ月当り何10万円、何100万円の開発(売上)の商談を進める雰囲気ではなくなってしまう。それ以前に、 大手企業の(決済権限を持った)役職者を招くことさえできないだろう。端からビジネスチャンスを逃しているようなものである。

 

振り返って みると、都田の事務所が、(絶対規模は小さいけど)飛躍の原動力になったことは間違いない。事務所移転の年の年間売上は1000万円に届かなかった。その 翌年の売上は、2000万円を(ほんのわずか)越えた。社員一人あたりの売上がこの数字になったとき、ソフトハウスは軌道に乗ったとみなされる。一瞬軌道 に乗った。

 

 

3.言霊(ことだま)思想
月間スケジュール表の隅っこに落書きともつかないちょっと消えかかったメモがある。会社設立時(1999年)に書いた将来構想である。

 

2000年 経理事務担当パートの採用と事務所移転
2002年 株式会社化 社員数3名に
2004年 売上が倍倍ゲームに 社員数5名に

 

言葉に出して自分のしたいことを明確にするのは大切である。この考えは、決して私がある日突然悟ったわけでなく、たいていのビジネスハウツー本に紹介されて いる。言葉にすることで、自ずと行動パターンがそれを目指すようになるらしい。ゴールを目指して行動すればゴールに近づく、あるいは到着するのは当たり前 だと思うが、潜在意識が行動パターンを律することがミソらしい。昔の人は、話した言葉に魂が宿って(言霊)、それが自分の運命を左右すると考えたようだ が、潜在意識への呼びかけととらえるところが現代風である。

 

会社設立時、夢物語程度で書いたメモであるが結構そのとおりになっているのに自分でも驚いてしまう。現在(2003年)「株式」会社エムシースクウェアドはビル5Fに「事務所」を構え(都田インキュベートセンターから浜松商工会議所ビルに移転)、社員数は「4名」である。

 

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